移行支援
「働く自信がない…」その気持ちに寄り添う就労移行支援とは?
「働きたい気持ちはある。でも、自信がない…」
そう感じている方は決して少なくありません。
特に、過去に仕事が続かなかった経験があったり、体調の波がある障がいを抱えていたりする方にとって、「就職する」というだけで大きな壁のように感じられることがあります。
就労移行支援事業所では、そんな“働くことに対する不安や怖さ”を抱える方に寄り添いながら、一歩一歩前に進むサポートを行っています。
この記事では、働く自信を取り戻すために就労移行支援がどのような支援をしているのかを、実例を交えてご紹介します。
- 「できない」が前提の場所だから、安心して学べる
就労移行支援事業所は、障がいや体調に配慮しながら、就職に向けた準備を行うための場所です。支援員やスタッフは、「できないことがあるのは当たり前」という姿勢で利用者に接します。
例えば、グループワークで発言できなかったとしても責められることはありません。むしろ、「今日は発言できなくても、しっかり聞けていたね」と、ポジティブな面に光を当ててもらえます。
このような関わりが続くことで、利用者の方々は少しずつ「自分はここにいていいんだ」と感じられるようになり、心の土台が安定していきます。
- 小さな成功体験の積み重ねが“自信”になる
就労移行支援では、いきなり就職を目指すのではなく、「できることを少しずつ増やす」プロセスを大切にしています。
例えばこんな成功体験があります:
毎日同じ時間に通所できた
人前で短く自己紹介ができた
パソコンで簡単な表が作れた
他の人に「ありがとう」と言われた
こうした小さな「できた」が積み重なることで、少しずつ「自分にもできることがある」と感じられるようになり、それが働く自信へとつながっていきます。
- “働く前に知っておきたいこと”を丁寧に学べる
「そもそも仕事ってどんな流れでやるの?」「怒られたらどうすればいい?」など、社会人経験が少ない方やブランクが長い方にとっては、基本的なマナーやルールがわからず不安になることも多いものです。
就労移行支援では、以下のようなプログラムで不安を減らす工夫をしています:
職場での挨拶や報連相の練習
ストレスへの対処法を学ぶ心理教育
働く上での「配慮事項」の整理
実習や見学による職場体験
事前に働くイメージを持つことで、「なんとなく不安」が「なんとかなるかも」に変わっていきます。
- 就職して終わりじゃない、“定着支援”の安心感
実際に就職が決まっても、「続けられるか不安」「何かあったらどうしよう」といった不安はつきものです。就労移行支援では、就職後も6か月以上にわたり支援が受けられる「定着支援」という制度があります。
・月に1回の面談で近況を確認
・必要に応じて企業訪問や調整
・体調の変化や悩みごとへの対応
このようなフォロー体制があることで、就職後も安心して仕事を続けやすくなります。
「働き続けること」がゴールだからこそ、その後の支援も大切にしています。
- 利用者の声:「最初は怖かったけど、今は楽しみもある」
実際に就労移行支援を利用したBさん(20代・女性・精神障害)はこう話しています。
「最初は、また失敗したらどうしよう、周りの人とうまくやれるか心配…っていう気持ちでいっぱいでした。でも、事業所のスタッフが“焦らなくていい”って言ってくれて、それがすごく救いになりました。今は少しずつできることが増えて、就職も現実的に考えられるようになっています」
このように、はじめは「怖さ」や「不安」があって当然です。その気持ちに寄り添いながら、利用者のペースに合わせて支援してくれるのが就労移行支援の特徴です。
まとめ:「自信がない」は出発点
「働く自信がない」という気持ちは、けして後ろ向きではありません。
むしろ、それをきっかけに自分を知り、向き合い、少しずつ自信を育てていく…それが就労移行支援でできる大切なプロセスです。
もし今、「自分なんかに働けるのかな…」と不安を感じているなら、その気持ちをそのまま持って来てください。安心できる環境で、一緒に「働く自信」を育てていきましょう。