■はじめに

てんかんは、発作の不安や周囲の理解不足から「自分にできる仕事は限られている」と感じてしまいやすい障害の一つです。
しかし、適切な職場配慮や環境選びを行えば、多くの方が安心して仕事を続けることができます。

この記事では、てんかんのある方に向いている仕事の特徴や職場に求めるべき配慮、長く働くための工夫について詳しく解説します。
「どんな仕事なら安心して働けるのか」「どんな配慮をお願いしていいのかわからない」と悩んでいる方や、支援者・採用担当者の方もぜひ参考にしてください。

■てんかんとは？

てんかんは、脳の神経活動に一時的な異常が起き、繰り返し発作が起こる慢性の神経疾患です。

 

■主な症状

• 意識が一時的になくなる（欠神発作）
• 全身がけいれんする（強直間代発作）
• 部分的な動きや感覚の異常（部分発作）

発作の頻度や症状は人によって大きく異なりますが、
・薬の服用
・ストレスや疲労、睡眠不足の管理
によって、日常生活や仕事が安定している方も多くいます。

■てんかんのある方に向いている仕事とは？

1. 安全に配慮された環境で行える仕事

• 事務補助（データ入力、書類整理）
• シール貼りや梱包などの軽作業
• 清掃業務（危険な場所を避けた作業）

高所作業や機械操作、危険物の取り扱いは発作時に大きな事故につながるため、
安全が確保された環境でできる仕事がおすすめです。

2. 在宅ワーク・テレワーク

• ライティング
• デザイン
• プログラミング
• データ入力

発作への不安が強い方や、外出時のリスクを減らしたい方には、在宅勤務も選択肢の一つです。

3. ストレスや過度な緊張が少ない仕事

• 商品管理やピッキング
• 図書館業務
• 工場内軽作業

強いプレッシャーや人間関係のストレスは発作の誘因になることがあるため、落ち着いて作業できる仕事を選ぶことが大切です。

■職場に求めるべき配慮ポイント

1. 発作時の対応方法を事前に共有

• どんな発作が起きるのか
• どのように対応してほしいか（声掛け、救急対応の要否など）

事前に周囲に伝えることで、万が一の際も落ち着いて対応してもらえます。

2. 体調や服薬管理への理解

• 服薬のタイミングを守るための休憩
• 睡眠不足や疲労をためないためのシフト調整

無理な長時間勤務や夜勤は、発作リスクを高めることがあります。

3. 安全配慮と業務範囲の調整

• 高所、火や水を扱う作業、重機操作などを避ける
• 発作リスクの低い安全な業務に限定する

■長く働き続けるための工夫

1. 自己管理の徹底

• 決められた服薬を守る
• 睡眠や生活リズムを整える
• 体調やストレスのセルフチェックを習慣化

2. 周囲への説明・共有

• 発作の特徴や対応を伝えておく
• 必要な配慮や不安を上司や同僚と共有する

3. 就労移行支援や定着支援の活用

• 自分に合った働き方を専門家と一緒に探す
• 職場への配慮提案や調整をサポートしてもらう
• 就職後も定着支援を受け、困りごとを早めに解決する

■まとめ｜てんかんがあっても安心して働くために

てんかんがあっても、

• 自分に合った安全な仕事を選ぶこと
• 職場と発作対応や配慮についてしっかり話し合うこと
• 支援機関を活用し、無理のない働き方を探すこと

これらを意識することで、安心して長く働くことは十分に可能です。

「てんかんがあるから…」と一人で悩まず、まずは支援機関や就労移行支援事業所に相談してみてください。あなたに合った働き方を一緒に探してくれるはずです。