移行支援
「好き」を武器に生きる――さかなクンと発達特性から学ぶ働き方
さかなクンは発達障害の診断を受けているという公式な発表はありませんが、幼少期の逸話や映画『さかなのこ』での描写から、発達障害の傾向があるのではないかと言われています。
魚への強い興味と集中力、他の分野への苦手意識や学校生活でのエピソードは、ADHD(注意欠如・多動症)や自閉スペクトラム症(ASD)の特性と重なる部分があると、一部で指摘されています。
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1. 発達障害とは?
発達障害とは、生まれつきの脳の働き方の違いによって、行動や認知の特性が現れる状態を指します。大きく分けると以下の3つがあります。
1. 自閉スペクトラム症(ASD)
社会的コミュニケーションや対人関係が苦手で、特定の興味やこだわりが強い。
2. 注意欠如・多動症(ADHD)
集中の持続が難しい、不注意や衝動性が見られる。
3. 学習障害(LD)
読み書きや計算など、特定の学習分野が極端に苦手。
これらは病気ではなく、生まれ持った「脳の特性」です。そのため、環境や関わり方の工夫によって困りごとを減らし、強みを活かすことが可能です。
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2. さかなクンの幼少期と「好き」の力
さかなクンは、幼い頃から魚に夢中でした。
図鑑や水槽の観察に何時間も没頭し、魚の絵を描き続ける一方で、学校の勉強や提出物には苦戦。忘れ物や時間管理の難しさもあったといいます。
このような行動パターンは、ADHDやASDに見られる「興味の偏り」や「過集中」と呼ばれる特性と似ています。
しかし、彼を支えたのは母親の肯定的なサポートでした。
母親は「魚のことばかり考えている」息子を否定せず、魚を描くための画材や水族館へのお出かけなど、興味を伸ばす環境を積極的に用意しました。これが、現在の専門知識や仕事の基礎となっています。
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3. 「過集中」がキャリアをつくる
ADHDの傾向がある人には、「過集中」という、興味のある対象に深く入り込む力が見られることがあります。
さかなクンはその力を存分に活かし、魚の知識やイラストスキルを磨き続けました。
その成果として、タレントとしての活動だけでなく、東京海洋大学名誉博士や客員准教授として教育や研究にも携わるなど、幅広い分野で評価を得ています。
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4. 発達特性と働くことの難しさ
発達特性のある方は、就労の場面で次のような課題に直面しやすい傾向があります。
• 優先順位や段取りを立てるのが苦手
• 興味のない業務は集中が続かない
• ケアレスミスや忘れ物が多い
• 人間関係で誤解されやすい
これらは本人の努力不足ではなく、脳の特性によるものです。だからこそ、業務の工夫や職場環境の調整が重要になります。
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5. エールが提供するサポート
就労移行支援事業所エールでは、ADHDやASDを含む発達障害のある方が、自分らしく働けるように次のような支援を行っています。
• 特性理解に基づく個別支援
本人の特性や得意・不得意を丁寧に把握し、仕事のやり方や環境の工夫を一緒に考えます。
• 少人数制で安心できる環境
静かで落ち着いた空間で、自分のペースで学び、必要な時にすぐ相談できます。
• 実践的な職業訓練
PCスキル、ビジネスマナー、模擬面接、職場実習など、就職に直結するスキルを段階的に身につけます。
• 就職後の定着支援
就職後も職場との調整や相談対応を継続し、長く働ける環境づくりを支援します。
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6. 「好き」はあなたの武器になる
さかなクンの歩みは、「好きなことに夢中になる力」が、やがて社会で必要とされる力に変わることを示しています。
発達障害やその傾向があっても、それは価値のある個性であり、活かし方次第で大きな可能性を持っています。
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見学・体験のご案内
「自分の特性を理解して働きたい」「好きなことを活かせる仕事を見つけたい」という方は、ぜひエールにご相談ください。見学や1日体験も随時受付中です。