移行支援
双極性障害とともに働くために ― 兒玉遥さんの経験から学ぶ、滋賀・大津での就労移行支援
■双極性障害とは
双極性障害(躁うつ病)は、気分が極端に高ぶる「躁状態」と、気持ちが落ち込み意欲が低下する「うつ状態」を繰り返す病気です。
感情の波が激しく、生活リズムや集中力が不安定になることから、就労や人間関係に影響が出ることがあります。
この病気は決して珍しいものではなく、日本でも100人に1人程度が経験するといわれています。
治療には時間がかかりますが、服薬や心理的支援、生活の安定を通じて多くの人が社会復帰を果たしています。
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■兒玉遥さんの公表と回復の歩み
元HKT48メンバーで女優の兒玉遥さんは、双極性障害を公表した数少ない著名人の一人です。
アイドルとして活躍していた時期、強いストレスやプレッシャーから心身のバランスを崩し、活動を休止しました。
療養期間中には、抑うつ状態が深まり、自分を責める気持ちに苦しんだと語っています。
しかし、医療や家族の支え、そして「もう一度自分を取り戻したい」という強い意志によって、少しずつ回復していきました。
彼女はその経験をもとに、著書で「双極性障害と共に生きることは恥ずかしいことではない」と発信しています。
この言葉は、同じように働くことに不安を感じる人に大きな勇気を与えています。
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■双極性障害と働くことの難しさ
双極性障害を持つ人が仕事を続けるには、病気の特性を理解し、環境や支援をうまく活用することが重要です。
特に、以下のような課題が多く見られます。
1. 感情やエネルギーの波が激しい
躁状態では過活動や衝動的な行動が増え、うつ状態では集中力や意欲が低下します。
この波に自分自身も振り回されることが多く、仕事の安定が難しくなります。
2. 生活リズムの乱れ
睡眠のリズムが崩れることで、症状が悪化しやすくなります。出勤時間やシフト勤務が負担になる場合もあります。
3. 職場での理解不足
外見では分かりにくい病気のため、「怠けている」「やる気がない」と誤解されることがあります。
その結果、人間関係にストレスが生じることもあります。
こうした課題を抱えながらも、「自分のペースで働きたい」と考える人が多くいます。
そのための支援を行うのが、就労移行支援事業所です。
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■就労移行支援とは
就労移行支援は、障害のある方が一般企業への就職を目指すために利用できる福祉サービスです。
利用者は、事業所で職業訓練やビジネスマナーの練習、体調管理の支援を受けながら、就職に向けた準備を進めていきます。
特に双極性障害のある方にとって、次のようなメリットがあります。
• 自分の体調に合わせて段階的に訓練できる
• 生活リズムやストレス対処法を整える支援がある
• 職場体験や企業実習を通じて「働ける自信」を積める
• 医療・福祉機関と連携して、再発防止をサポートしてもらえる
また、就職後も「就労定着支援」という制度を使えば、職場に慣れるまで継続的な相談支援を受けられます。
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■滋賀・大津での就労移行支援の特徴
滋賀県大津市周辺では、精神障害や双極性障害に対応した就労移行支援事業所が複数あります。
大津駅周辺や石山駅、唐橋前などアクセスしやすい地域に事業所が多く、公共交通機関で通いやすい環境が整っています。
滋賀・大津での就労移行支援の特徴として、以下の3点が挙げられます。
1. 少人数制で個別支援が充実している
利用者一人ひとりの体調や目標に合わせたスケジュールを組みやすく、双極性障害のように波のある方でも無理なく通えます。
2. 地元企業との連携が進んでいる
地元の製造業、大学事務、IT関連など、多様な職場実習があり、地域とのつながりを感じながら働く準備ができます。
3. 生活面も含めたサポート体制
体調や服薬管理、家族との関わり方など、生活全体を支える支援員がいるため、安心して社会復帰を目指せます。
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■利用までの流れ
就労移行支援を利用するには、次のような手順を踏みます。
1. 住んでいる市区町村の福祉窓口で「サービス利用の申請」を行う
2. 医師の意見書や障害者手帳を提出して、支給決定を受ける
3. 事業所と契約し、個別支援計画を作成する
4. 訓練・職場体験を通じて、就職に向けた準備を進める
利用期間は原則2年間で、その間に就職を目指します。
費用は世帯収入に応じて自己負担があり、多くの場合は無料または低額です。
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■双極性障害と就労支援 ― 大切なのは「無理をしない選択」
双極性障害のある方にとって、最も大切なのは「無理をしないこと」です。
体調が良いときに頑張りすぎると、その反動でうつ状態に落ち込むことがあります。
そのため、支援員や医師と相談しながら「自分のリズムで働く」ことを意識することが重要です。
また、仕事だけでなく、睡眠・食事・服薬・人との関わりなど、生活全体のバランスを整えることが回復と安定の鍵になります。
事業所の支援を受けながら、自分に合った働き方を探していくことが、長期的な就労につながります。
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■まとめ:兒玉遥さんの言葉が伝える希望
兒玉遥さんは、双極性障害を乗り越え、再び芸能の世界で活躍しています。
彼女の発信は、「病気があっても自分らしく生きられる」というメッセージそのものです。
双極性障害を抱えながら働くことは簡単ではありませんが、支援制度や理解ある職場を選べば、社会の中で自分らしく力を発揮することができます。
滋賀・大津には、そのための支援環境が整いつつあります。
就労移行支援は、単なる「訓練の場」ではなく、「再出発のための伴走者」として存在しています。
焦らず、自分のペースで、双極性障害と共に生きる道を歩んでいくことが何よりも大切です。